今季、昨年までの主砲・鈴木誠也を欠いたチーム事情から、広島カープが切望していることは長距離砲を確保して4番打者を固定したいということである。
新助っ人としてカープに入団したマクブルームは鈴木誠也の穴を埋めることができるか、大きな関心が集まっている。
MLBとマイナーリーグでの経歴を参照しながらマクブルームの現在の評価はどうなのか、また日本で活躍できる潜在能力についてはどうかを検証してみた。
マクブルームの持ち味は「パワー」で、バットが折れても柵越えするホームランバッターという定評があるが、日本ではホームランを量産してエルドレッドの再来となることはできるのか、その可能性についても検討してみた。
マクブルームの評価と潜在能力を検証!
マクブルームとはどんな選手か?
ライアン・マクブルーム(Ryan McBroom)
出身地:アメリカ バージニア州フレデリックスバーグ(ワシントンDCの近く)
生年月日:1992年4月9日(30歳)
身長・体重:190㎝ 99㎏
左投右打の一塁手&外野手で広島カープでは一塁手としてスタメンで出ている。
最終学歴はウェストバージニア大学卒
マクブルームのMLBとマイナーリーグでの経歴
2013年のMLBドラフトでは36巡目でカンザスシティロイヤルズから指名されたが、この時は入団していない。
2014年のMLBドラフト15巡目(全体444位)でトロント・ブルージェイズから指名され、プロ入り。契約後、傘下のA-級バンクーバー・カナディアンズでプロデビュー。70試合に出場して打率.297、11本塁打、59打点、1盗塁を記録した。
2017年ニューヨーク・ヤンキースへトレードされ、ヤンキース傘下のAAでプレー
2019~2021年、広島カープ入団前の直近の所属チームはカンザスシティ・ロイヤルズ
MLBで目立った実績を残し始めたのは2020年で、この年36試合に出場し、プロ入り初HRを記録し、計6本塁打を放ち、パワーヒッターの片りんを見せた。
2021年 MLBでの出場は7試合に留まり実績らしい実績は残していない。しかし、AAA級オマハでは115試合に出場し、打率.261、32本塁打、88打点の成績を残し、3Aの本塁打王になっている。
マクブルームの評価と潜在能力
2020年にマクブルームのパワーヒッターとしての才能は開花しかけ、36試合ながら6本塁打でその後期待されたが継続して実力を発揮できなかった。
マクブルームがメジャーで定着できなかった要因は明らかで、三振が多く出塁率が低い(3Aで本塁打王を獲得した今季も出塁率.337)という弱点があった。
当たれば飛ぶが確実性に欠けるというイメージがついて回った。
しかし、今季3Aでは三振率22.9%と数字はぐっと下がり、マイナー通算でも21.1%と抑えられている。
メジャーでは対応できなくてもマイナーリーグで本塁打王の実績を見ると、メジャーよりストレートの球速が平均6㎞ほど下がる日本では開花する可能性を秘めている。
田中将大と前田健太が語るように、日本の方がストライクゾーンが広いとの声は少なくない。
マクブルームも日本のストライクゾーンに慣れたらパワーヒッターとしての潜在能力が開花し、大化けする可能性も考えられる。
広島カープで2022年を迎えたマクブルームの評価は専門家の間でどうなっているだろうか?
パワーヒッターという触れ込みで来日しながら期待外れに終わった選手は少なくない。
変化球主体の日本の投手の配球に対応できなかったり、ストライクゾーンからボールゾーンへ逃げる玉に空振りを繰り返した選手の姿が目に浮かぶ。
落ちる球に対応できなかったケースも多い。
マックブルームの場合は日本野球に対応するために欠かせないボールを見極める選球眼の良さを持ち、各チームのスコアラーからも「対応能力が高い」と一目置かれている。
「打席で左足を上げる幅を変えたり、ノンステップで打ったり投手や状況に応じてタイミングの取り方を変えている。まだ日本人投手の特徴を把握しきれていない時期だが、戸惑っている様子がない。逆方向に長打を打てるということは、それだけ球を長くひきつけて打てるということ。個人的には長距離砲というより中距離砲のイメージですね。手強い打者になりそうです」
引用元:ヤフーニュース
開幕後1か月たたない4月の間は日本の投手の攻め方をまだつかみ切れていない段階で、本塁打も出ず、打率も上がってこなかったが、5月に入って調子は上向きに転じている。
このまま、打率も本塁打数も上がってくれば、鈴木誠也に代わる不動の4番として定着しそうである。
マクブルームはホームラン量産してエルドレッドの再来となるか?
マクブルームの意外な持ち味「つなぐ意識」
マクブルームは3月の終盤から4番・一塁で出場しているが、力んで振り回す打撃になっていないところが高評価を得ているポイントで、本塁打よりも「つなぐ意識」でチームに貢献している。
4月5日の巨人戦では、初回に三番・小園海斗が二死から中越え二塁打で出塁すると、マクブルームは2球で2ストライクと追い込まれたが、戸郷翔征のフォークを見極めて四球で出塁。続く坂倉の左前適時打で先制点を奪った。
この場面は、4番のマクブルームが選球眼の良さを発揮してチャンスメークすることで、5番にミート能力が高い坂倉が控えていることで打線がつながり得点力が格段に高まることだ。
この場面はその象徴的な場面だった。
エルドレッドの再来でホームラン量産?
マクブルームは広島のチームメートとも積極的にコミュニケーションを取る姿が見られ、ファンからも愛される存在になりつつある。
また、「メモ魔」と呼ばれるほど研究熱心な側面もあり、これからの打撃だけに留まらないパフォーマンス向上に直結していきそうだ。
2022年3月に来日したときの入団会見では「40本塁打 100打点」を目標に掲げた。
しかし、マクブルームの頼もしいところは、ホームラン数よりも打点を重視し、こだわりを見せていることだ。
「100打点挙げることができればチームの勝利に貢献できる」と発言するように「つなぐ意識」で時には走者をかえし、時にはチャンスメークする、状況に応じた打撃を心がけている。
このスタンスは日本向きのチームバッティングにつながり、エルドレッドしか成し遂げていない外国人の100打点を達成し、結果としてホームラン王を狙う数字もついてくる可能性が高い。
そうなれば、「エルドレッドの再来」が実現し、プラスアルファの相乗効果を生むかもしれない。
マクブルームの評価と潜在能力/ホームラン量産でエルドレッドの再来か?(まとめ)
2022年の新助っ人として広島カープに入団したマクブルームについてとりあげた。
マクブルームのMLBとマイナーリーグでの経歴を参照しながら、現在の日本での評価が高く選球眼の良さや対応能力の高さが他球団の脅威となっている点を指摘した。
このことから、長距離砲としての潜在能力が開花する可能性が高いことを検証した。
マクブルーム自身はホームラン数よりも打点にこだわりを見せ、「つなぐ意識」に徹することが出来る選手であり、結果として打点王やホームラン王を射程圏に収める可能性が高い。
エルドレッドの再来かそれ以上のプラスアルファも期待できる好素材を広島カープは獲得できた。