ユニクロ ウィグル問題の回答は失敗?今後日本での販売に影響は?

政治・経済
ユニクロ 柳井会長

中国で事業を展開する外資系アパレル企業に対し、少数民族ウィグル族を巡る問題で批判が広がっている。

日本のユニクロもそのターゲットになっており、ウィグル族の強制労働によって生産されるサプライチェーンに問題があるという。

ユニクロの柳井会長は政治的に中立な立場をとり、ノーコメントと回答したが、この回答が失敗だったという見方についてまとめた。

また、今後のユニクロが日本で製品を販売していくうえで考えられる影響は何かを考えまとめてみた。

ユニクロのウィグル問題への回答が失敗だったという理由

ユニクロが政治的に中立な立場から「ノーコメント」と回答したことが失敗だったという見方は、「ビジネスと人権」の国際的な議論に詳しい佐藤暁子弁護士から出ている。

強制労働の追認と解釈されるから

政治的に中立だからノーコメントだという立場をとることは論理的に矛盾があるという。

「企業として中国市場に出てサプライヤーと取引し、中国という社会のあり方の中にあるマーケットで活動して利益を得ているのなら、その社会で起きていることと無関係ではいられません」

「新疆ウイグル自治区で強制労働があることは、国際社会で一定の証拠を持って伝えられているのに、『中立だからコメントしない』というのは、強制労働がある現状を追認しているということになります」

中国での直近の売上と引き換えに失う信用

ユニクロもウイグル族らを強制的に労働させている中国の工場と取引があったと名指しされている企業の1つである。

今後もグローバル企業に対しては人権問題への国際社会の関心の高まりから、自社が関与するサプライチェーンでそうした問題がないかどうかの見直しやコメントを求められる機会が増える。

2021年3月には、EUが、アメリカ・イギリス・カナダと歩調を合わせるかたちで、中国高官らに資産凍結などの制裁を科した。

こうした欧米の動きと足並みをそろえていくのか、中国でのビジネス重視をとるのか踏み絵のような難しい選択を強いられるのは分かる。

巧者であれば、中国での一定期間での売り上げと引き換えに、長期的に見ればグローバルで投資家を失うリスク、企業価値を損ねるリスクがある、すなわち信用を失うリスクがあるという。

「ステークホルダー」への説明責任

ユニクロブランドのファーストリテーリング者は世界への影響力のあるグローバル企業であり、その会社が「ノーコメント」では求められている株主や取引先、顧客へも説明責任を果たしていると言えない。

今や、企業のステークホルダーは、顧客や株主、従業員といった枠を超えて無限に広がっている。ウイグル問題に限らず、ミャンマーや香港でのデモ隊弾圧やBLM、気候危機…様々な社会問題について企業としてどう考え、どう向き合っているのか。その姿勢を世界が注視する時代だ。

「企業として中国市場で取引をして利益を得ている以上、ウイグル問題についてもステークホルダーに対しての説明責任があることを認識していただきたい。企業としてのメッセージ発信が、ステークホルダーとのコミュニケーションだからです」

今後ユニクロの日本での販売に影響はあるか?

不買運動につながる厳しい外部環境

欧米では既に人権問題の観点からウィグル関連取引の停止や削減を求める動きが広がってきている。

スェーデンのH&Mやアメリカのナイキ、ドイツのアディダスなどもウイグルの綿花を排斥するなどの対応をとらざるを得なくなっている。

中国のSNS上ではこうした欧米企業から、強制労働についての批判のコメントが急増している。

ユニクロも現状維持のままで行くならば、欧米からの不買運動などの流れの影響にさらされるリスクがある。

また、欧米に足並みを揃えて、ウィグル人の強制労働について遺憾の意を表明したりすると中国側から内政干渉だと反発を招くことになる。

いずれにしても、現状の「ノーコメント」と「政治的中立」をいつまでも貫くことは難しく、今後近いうちに柳井会長から世界へ向けたユニクロとしての立場が打ち出される日は近いと考えられる。

「中国からの撤退」という提案にどう向き合うか?

アメリカのNEWSWEEK誌が報じたところによると、アメリカン・エンタープライズ研究所の調査では、「中国では27の工場がウイグル人を使っており、82のブランドの製品や部品を製造している。強制労働に加担してはいけない。サプライチェーンを再構築し、消費者の信頼を勝ち取るべきだ。」

と主張している。

記事の見出しの「中国進出企業はいますぐ撤退せよ」と合わせて、衝撃的な内容である。

今後中国に留まっている企業に向けられる国際世論の状況次第では、中国からの全面撤退は考えにくいとしても、ウィグル人と取り引きがある工場から撤退することで、新しいサプライチェーンの構築を図ることをユニクロが考えるかもしれない。

現在は、ユニクロとして、強制労働などの問題がある工場との取引は否定しているが、これに納得できない国際的批判が高まったときに現在取引がある工場からの「撤退」や「取引の停止」などの措置をとるのかどうかが注目される。

そのときは、新しい資材の調達先に目途をつけてからのことになるはずで、日本での販売にそれほど大きな影響があるとは思えない。

長期的に見た場合、現状維持のままで失うもっと大きな信用喪失と機会損失の方が心配である。

ユニクロのウイグル問題への回答は失敗?/今後の日本での販売への影響(まとめ)

少数民族ウイグル族に対する強制労働の問題について行ったユニクロの「ノーコメント」という回答が失敗だったといわれる理由についてまとめた。

また、国際世論からの批判の高まりの影響でユニクロが今後とる行動の選択肢と日本での販売への影響について考えてみた。

タイトルとURLをコピーしました